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109

ひらお
循環器科内科
クリニック


〒276-0042
千葉県八千代市
ゆりのき台5-1-1
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東葉高速鉄道 
八千代中央駅より
徒歩約5分
駐車場完備
TEL:047-487-1515 
FAX:047-487-1520
hirao@109.gr.jp

睡眠時無呼吸症候群 

検査治療| 


睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)は、最近 50 年間で重要性が認識された最も重要な病態の一つです。

我が国では大規模な疫学研究はなく、正確なSASの有病率は明らかではありませんが、一般住民910 名を対象とした疫学調査においてAHI≧10のSASは 男性 3.3%、女性 0.5%(全体で 1.7%)との報告があり、患者数は約 200 万人と推定されています。
しかし問題は診断率であり、治療の対象となる SAS の 85%以上が未診断といわれています。

睡眠時無呼吸症候群のほとんどが、上気道の閉塞(窒息)が原因で起こる閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea: OSAS) です。OSASの基本的病態生理は、睡眠中に出現する上気道(特に咽頭部の)の狭窄・閉塞であり、これが10秒以上持続したときに無呼吸と定義されます。1時間当たりの呼吸停止の回数を無呼吸指数(AI:apnea index)といい、無呼吸の重症度の指標です。AI が5〜15が軽症、15〜30が中等症、30以上が重症です。

ヒトは通常、仰臥位で就寝しますが、このとき、重力 の影響を受け口蓋垂、舌根部が沈下するため上気道は狭小化します。睡眠状態に入ると、上気道を構成している筋肉群(頤舌筋などの上気道拡大筋)が活動性を失い弛緩するため、上気道はさらに狭小化します。肥満者は、頸部・咽頭口腔内粘膜下の脂肪により上気道の狭小化が顕著になります。しかし、上気道に形態学的・機能的異常のない健常者では、この程度の上気道の狭小化は呼吸に大きな影響を及ぼしません。一方、OSAS 患者は、上気道の形態学的あるいは機能的な異常により睡眠中に容易に上気道が狭窄・閉塞し、無呼吸が 出現します。OSAS に特有な著明ないびきは狭窄した上 気道を通過するときの呼吸音です。従ってイビキの大きな人は、OSASであることが非常に多いのです。

気道の図

健康人の睡眠パターンを図に示します。

 1・2が浅い睡眠、3・4は深い睡眠です。正常な睡眠パターンは、ノンレム睡眠から始まり、ステージ1→2→3→4とだんだん深い眠りに達し、ノンレム睡眠が1〜2時間続いた後、一旦眠りが浅くなってレム睡眠が現れ再びノンレム睡眠へと入っていきます。この様に、ノンレム睡眠とレム睡眠は1つのセットになって、一晩に4〜5回繰り返されます。 

図1

しかし、睡眠時無呼吸患者はどうなっているかというと、睡眠が深くなろうとすると気道閉塞を来たし窒息します。苦しくて睡眠が浅くなると気道狭小化が改善し呼吸が再開します。再び深い眠りに入ろうとすると気道閉塞が発生し、再び浅い眠りに引き戻されます。下図上部の様に、3・4という深い眠りが殆ど無いのが特徴です。つまり自分では眠ったと思っていても、脳は殆ど寝られておらず、それが連日繰り返されます。慢性的な睡眠不足で24時間・365日徹夜している様なものです。この様な人に、CPAPという人工呼吸器で呼吸を補助してもらうという治療法を行いますと下図下部のように正常の睡眠パターンと遜色無い質の良い睡眠が取れる様になります。

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慢性的な睡眠不足により、居眠り運転が多く、図の様にOSAS患者は健常人の7倍近い交通事故の発生率です。2012年に群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故はまだ記憶に新しいでしょう。バスが高速道路脇の壁に衝突し、乗客7名が死亡、38名が重軽傷を負った大事故です。この運転手も睡眠時無呼吸症候群(OSAS)でした。

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下のブラフは、無呼吸患者の生存率を示しています。無呼吸指数20以下の患者群 と20以上の患者群の生存率を比較すると、20以上の群では毎年何人かづつ死亡 し、9年後の生存率は65%です。よって無呼吸指数20以上の患者は、治療が必 須です。死亡原因は窒息ではなく、次に述べる無呼吸が原因で引き起こされる合併 症の為です。


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SAS に合併する内科疾患として肥満やメタボリックシンドローム、高血圧、心疾患と脳血管障害、糖尿病、肝機能障害などが報告されています。SAS がこれらの生活習慣病ともいうべき疾患を誘導する 因子として、慢性的な間欠的低酸素血症および睡眠分断と覚醒が重要と考えられており、この2因子が酸化ストレス、NF―κBの経路を介する全身炎症、交感神経活動亢進などを介してインスリン抵抗性や高血圧、心血管障害を引き起こし、SASの予後悪化と複雑化を招いていると考えられています。 睡眠中の呼吸停止で重症の低酸素血症が生じます。当院治療中の患者さんで2分30秒も呼吸が停止していた方がおられます。想像を絶するぐらい苦しいはずですが、眠っているので本人には窒息している事が解らないのです。この低酸素血症で睡眠中の交感神経の興奮を引き起こし、睡眠中高血圧を来たします。交感神経の亢進は翌日午前中まで持続します。夜より朝の血圧が高い方を検査してみるとかなりの確率で無呼吸症候群が見つかります。睡眠中に全身をめぐる血液は低酸素状態ですので、身体中のすべての臓器が低酸素血症にさらされて障害され、様々な臓器の障害が起こります。従って以下に示す様々な疾病を併発します。将来認知症を発症する確率も約2倍です。睡眠は体を休めるために取るのですが、無呼吸患者は睡眠中に日中の何倍ものストレスが掛かっており、体を休めるどころか、逆にいじめているのです。

合併症のリスク

全高血圧患者の約30%はOSASで、特に服薬によってもなかなか血圧がコントロー ル出来ないような方は80%がOSASです。心不全は76%、心房細動は50%にOSASが があり、心筋梗塞を起こした方の57%はOSASです。


 

OSASという病気の重大さをご理解頂けたかと思います。 以下のような症状がある方・ご心配な方は是非検査をお勧めします。 当院でご紹介している検査の方法は、3種類です。

@簡易検査(スリープテスター) 自己負担額:3割負担の方で¥2700
A在宅PSG検査自己負担額:3割負担の方で¥12420
B入院で行うPSG検査自己負担額:3割負担の方で¥42500簡易検査はPSGに比べ精度が低く、いわゆるスクリーニング検査です。
簡易検査で《怪しい》という結果が出たら、PSG検査を行って確認をする必要があります。

在宅PSG検査は、検査会社からご自宅に検査機器が郵送されてきますから、ご自分で説明書を見ながら機械を装着して一晩検査をします。翌日着払いで送り返します。 約2週間で結果が出ますので、結果は当院でご説明します。負担額は安価なのですが、センサーをうまく装着できなかったり、寝ぼけて機械をはずしてしまったりして検査を失敗してしまう危険性もあります。

 入院で行うPSGは個室入院なので入院費の負担があり、在宅と比べ高額ですが、検査技師が一晩つきっきりで検査をしてくれますから、センサーのずれや寝ぼけて外す事は防げます。検査の失敗は心配ありません。 

AI(無呼吸指数)=20以上のSAS(無呼吸症候群)と診断されたら、CPAPの治療が必要です。20以下のSASの場合、CPAPの保険適応ではないので、マウスピース(口腔内装置(oral appliance:OA) )や外科療法(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(uvulopalatopharyngoplasty:UPPP) )・扁桃およびアデノイド摘出術(adenotonsillectomy)・顎 形 成 術(maxillomandibular advancement surgery: MMA) )などがあります。 

重症のOSASに対しては、マウスピースや外科療法は効果がありません。CPAP治療が適切です。CPAPは、最も効果があって、非侵襲的な治療法です。鼻にマスクを装着して人工呼吸器から陽圧を掛けて窒息を解除し、呼吸を補助してくれます。睡眠時は常に装着する必要があります。

 CPAP治療は保険で行えますが、自己負担額は1割負担の方で月額¥1480、3割負担の方で¥4430です。 

CPAP機器は精密医療機器で、その使用状況が適切かどうかを毎月来院して頂いて確認をする必要があります。機械に挿さっている記録メディア(USBメモリ・SDカード)を受診時に持って来て頂き、メディアに記録されているdataを解析して、毎日使用しているか、何時間使用しているか、異常な圧力がかかっていないか、圧力の設定は適切か、使用できない場合にはその原因と解決方法は何か等をチェックします。

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ひらお循環器内科クリニック